飲食店開業の流れをプロが解説|準備・費用・物件選び・失敗しないポイント
飲食店を開業したいと考えたとき、まず悩みやすいのが「何から始めればよいのか」という点ではないでしょうか。
飲食店を開業するためには、コンセプト構築、資金計画、売上収支計画、物件選定、メニュー開発、内外装デザイン、販売促進、人材など、検討すべきことが数多くあります。
きちんとした流れで準備を進めていかないと、開業後に当初の計画と実際の運営体制との間にズレが生じ、お店の経営に大きな影響を与えかねません。
本記事では、飲食店開業の基本的な流れをわかりやすく整理しながら、開業準備で押さえておきたいポイント、失敗しやすい点についてご紹介いたします。
飲食店開業では、最初に全体像を把握することが大切です
飲食店の開業準備をスムーズに行うためには、思いついた作業から順番に進めるのではなく、まず必要な準備事項をリスト化し、スケジュールを組み立てることが大切です。
開業準備では、コンセプト、数値計画、物件、メニュー、デザイン、販売促進、人材など、複数の要素が互いに関係しています。
たとえば、売上収支計画を立てずに物件だけを先に決めてしまうと、必要な席数や厨房設備を確保できず、想定していた売上や客単価を実現できなくなる可能性があります。
また、見栄えにこだわり過ぎたメニューを作ってしまうと、調理オペレーションが非効率になり、目標売上を達成するための足かせになることもあります。内外装デザインに予算をかけ過ぎた結果、資金計画が崩れてしまうケースも少なくありません。
今検討しているメニュー、内外装デザイン、物件が、資金計画や売上収支計画と照らし合わせてビジネスとして成立するかどうか。
この視点を持ちながら準備を進めることが、飲食店開業では非常に重要です。
飲食店開業の流れ

開業準備を的確に進めるためには、次の7つの項目を整理し、全体像を把握しながら進めることがポイントです。
- コンセプト
- 数値計画
- 物件
- メニュー
- デザイン
- 販売促進
- 人材
飲食店の開業準備は、大きく分けると次の3つのステップで進めていきます。
Step 1:事業計画
最初に固めるべき項目は、コンセプトと数値計画です。
<コンセプト>
お店の特長、理念、ターゲット、店舗デザインイメージなどを決める
<数値計画>
資金計画、売上収支計画を立てる
Step 2:物件選定
Step 1で固めたコンセプトと数値計画をもとに、適した物件を選定します。
<物件>
コンセプト、資金計画、売上収支計画に基づいて決定する
Step 3:店舗構築
物件が決まったら、メニュー、デザイン、販売促進、人材などの準備が同時に進んでいきます。
<メニュー>
主力メニュー開発、メニュー構成、価格構成、メニュー演出、食器、仕入れルート
<デザイン>
内外装デザイン、客席・厨房レイアウト、各種デザインツールの作成
<販売促進>
開業時の販促計画、開業後の販促計画
<人材>
人材採用計画、人材教育、研修、各種マニュアル作成
メニューや内外装デザインは、販売促進の効果を見据えながらブラッシュアップしていくことが大切です。
飲食店開業の流れ【Step 1:事業計画】
コンセプトを決める
飲食店開業で最初に行うべきことは、お店の軸となるコンセプトを確立することです。
お店が一番伝えたいこと、表現したいことは何か。どのようなお客様に来ていただきたいのか。どの価格帯で、どのような業態として展開するのか。
この方向性が曖昧なままでは、物件選定、メニュー開発、店舗デザイン、販売促進の方針まで定まりにくくなり、魅力あるお店づくりが難しくなります。
コンセプトを考える際には、まず次の視点を整理しましょう。
- What:お店が一番伝えたいこと、表現したいことは何か
- Why:なぜ開業したいのか
- Who:誰に来てもらいたいか、誰に喜んでもらいたいか
この3点を整理し、お店の特長や競合店との差別化を固めていきます。
さらに、固めたコンセプトをもとに、次の3つの方向性をある程度明確にしておくと、その後の判断がしやすくなります。
- ブランディングに関すること:お店のストーリー、物語
- メニューに関すること:主力メニュー、メニュー構成のイメージ
- デザインに関すること:店舗全体のデザインイメージ、テーマカラー
数値計画を立てる
コンセプトが見えてきたら、次に必要なのが資金計画と売上収支計画の整理です。
飲食店開業では、物件取得費、店舗工事費、厨房機器購入費、備品購入費などの開業費用だけでなく、開業後しばらく営業を安定させるための運転資金や、開業準備中の人件費まで見込んでおく必要があります。
開業費用だけを見て進めてしまうと、オープン後に資金繰りが厳しくなる可能性があります。また、売上収支計画を把握しておくことで、適切な物件規模、家賃水準、必要席数、客単価などの目安も見えやすくなります。
数値計画では、主に次の項目を整理します。
資金計画
- 物件取得費
- 店舗工事費
- 厨房機器購入費
- 食器・備品購入費
- 開業準備費
- 予備費
- 月々の借入返済額
- 投資回収計画の想定
売上計画
- 月売上高の予測
- 開業時売上高と目標売上高
- 1年〜3年程度の中長期売上予測
- 客単価と来店客数の想定
- 必要客席数の想定
収支計画
- 原価
- 人件費
- 販促費
- 諸経費
- 家賃
- 適切な家賃水準の想定
飲食店開業の流れ【Step 2:物件選定】
物件は「お金」と「集客」の両面から検討する
お店のコンセプトと資金計画、売上収支計画が固まったら、物件を探し始めます。
物件選びでは、「お金」と「集客」の2つを主に検討しながら進めることがポイントです。
「お金」の検討
- 家賃は月々の収支計画に見合った額か
- 物件取得費は資金計画の予算内か
- 工事費はどのくらいかかりそうか
営業を行ううえで無理のない条件かどうか、事前に作成した売上収支計画と照らし合わせながら検討します。
また、物件の現況が居抜き物件かスケルトン物件かによって、店舗工事費は大きく変わります。工事関係者にも一緒に確認してもらい、事前に決めておいた工事予算内で内外装工事や厨房工事が収まる物件かどうかを判断しましょう。
「集客」の検討
- 狙っているターゲット層がいるか
- 周辺競合店の集客動向はどうか
- 集客のためにどのような販売促進が効果的か
物件の立地や周辺環境が、事前に決めたお店のコンセプトやターゲットに合っているかを確認します。
その際、物件周辺にある競合店の営業状況を調べることも重要です。また、ターゲット層を集客するために、どのような販売促進ができるかを具体的にイメージできるかどうかも、物件選定の大切な判断材料になります。
飲食店開業の流れ【Step 3:店舗構築】
メニューを構築する
コンセプト決定時にまとめた主力メニューやメニュー構成の方向性をもとに、より具体的にメニューをまとめていきます。
メニューは、主に「メニュー構成・価格構成」と「メニュー演出」の2つの面から考えることが大切です。
メニュー構成・価格構成
- お客様の注文をシミュレーションしながら、目標客単価を実現できるメニュー構成と価格構成を決める
- 食材業者から見積もりを取り、実際の原価を算出する
- 原価率を参考に、メニュー構成や価格構成を見直す
- ロスが出ないか、食材の使い回しができるかを検討する
- 手間がかかり過ぎるメニューがないか、効率よく提供できるかを確認する
メニュー演出
- お店のコンセプトやデザインイメージを踏まえて、メニュー演出の方向性を決める
- 販売促進を行った際に印象に残りやすいか、魅力的に感じてもらえるかを意識する
- 料理の見せ方に合った食器を選定する
デザインを考える
店舗デザインを検討する際には、お店のストーリーやテーマカラーなど、コンセプトに基づいた統一感が重要です。
店舗の内外装デザイン、看板、ユニフォーム、メニューの演出、食器など、お店に存在するあらゆるものが同じ世界観に基づいて構築されていることで、魅力ある店舗としてお客様に伝わりやすくなります。
また、お店が狙うターゲット層や客単価によって、デザインの方向性は変わります。コンセプトをしっかり把握したうえでデザインを考えることがポイントです。
デザイン制作が必要なもの
- ロゴ
- ホームページ
- 名刺・ショップカード
- メニューブック・メニュー表
- 看板・POP
- ユニフォーム
内外装デザインで検討すること
- エントランス・看板
- 椅子・テーブル
- 床・壁・天井などのテクスチャー
- 照明
- ディスプレー
- BGM
オペレーションで検討すること
- 客席と厨房のゾーニング
- お客様とスタッフの動線
- 客席レイアウト
- 厨房レイアウト
デザイン性だけでなく、店舗としての使いやすさ、スタッフの動きやすさを考え、効率の良い動線を作ることが大切です。
販売促進計画を立てる
飲食店の開業では、開業準備段階から戦略的に販売促進計画を立てることが重要です。
販売促進方法は多くありますが、次の3点をもとに、自店に合った方法を検討していきます。
- ターゲット層:ご年配、若年層、女性、男性など
- 業態・客単価:高単価、低単価など
- 立地:商業地、住宅地、都心部、地方都市など
やるべき販売促進方法が決まったら、予算計画と収支計画を踏まえて、それぞれの方法にどのくらい費用をかけるかを決めていきます。
開業時と開業後で分けて考える
- 開業時プロモーション:SNSでの事前告知、チラシ配布、プレスリリースなど
- 開業後プロモーション:Googleビジネスプロフィール対策、SNS通常投稿、グルメサイト活用など
目的別に分けて考える
- 認知・集客プロモーション:Googleビジネスプロフィール、SNS、グルメサイトなど
- 再来店プロモーション:SNS登録促進、LINE活用、フェア・イベントの開催と告知など
開業時だけ一時的に集客するのではなく、オープン後も継続して来店につながる流れを作ることが、安定経営の基盤になります。
また、販売促進で大切なのは「販売促進をするネタ=店舗の魅力」があるかどうかです。
メニューを考えるときは「この商品を販売促進したら、お客様の目に止まるか」を意識し、販売促進を考えるときは「販促効果を高めるために、どのような商品が必要か」を意識することが重要です。
人材採用・教育を進める
お店が開業しても、現場を支える人員体制が整っていなければ、安定した営業はできません。
必要人員数、人員体制、役割分担を整理し、早めに採用活動を開始することがポイントです。
また、採用活動の前に、接客スタイル、オペレーションルール、店長・責任者の役割、現場の基本ルールなどを整えておくことで、採用後の教育・研修を効果的に行いやすくなります。
お店を運営するチームづくりで大切なのは、お店のコンセプトと理念を全員が理解し、同じ方向を向いて営業していくことです。
そのためにも、開業準備の第一歩であるコンセプト構築が、人材面においても重要になります。
飲食店開業で失敗しやすいポイント
飲食店の開業準備では、次のような点でつまずいてしまうケースが多く見られます。
- お店の根本となるコンセプト構築が不十分
- 開業までの全体スケジュールが見通せていない
- コンセプトと数値計画が曖昧なまま物件契約を進めてしまう
- 売上収支計画が楽観的で現実味がない
- 資金計画が十分に練られておらず、必要資金が不足する可能性がある
- メニュー、内外装デザインなどお店全体のイメージに統一感がない
- 戦略的な販売促進計画が立てられていない
- お店のコンセプトや理念がスタッフに浸透していない
こうした失敗は、開業準備の計画の立て方を見直すことで防ぐことができます。
思いついた準備を単発的にこなすのではなく、全体像を把握する視点を持ち、各項目を連動させながら進めていくことが重要です。
開業準備に大切なのは「トータル的に考える」ことです
飲食店は、メニュー、デザイン、サービス、販売促進などが別々に存在しているわけではありません。
それぞれが連動し、全体として統一感が生まれることで、魅力あるお店が出来上がっていきます。
そのため、飲食店開業では、コンセプト、数値計画、メニュー、デザイン、販売促進、人材をトータル的に考えることが大切です。
適切に開業準備を行うためには、それぞれのカテゴリーを単発で進めるのではなく、全体の連動性や統一感を意識しながら進める必要があります。
開業準備を進めるうえで不安がある方へ
飲食店開業では、準備が進むにつれてさまざまな検討事項が生じます。
「この進め方でよいのだろうか」「準備の全体像が見えなくなってきた」と不安に感じる場面も少なくありません。
特に、コンセプト構築、売上収支計画の作成、店舗物件の選定、メニューと販売促進方法の調整などは、全体像を踏まえて考える必要があります。
レストランコンサルタントRDJでは、飲食店の新規開業に関するご相談を承っております。開業に必要な事項の確認、開業準備の進め方、スケジューリング、高い集客力のある店舗づくりなど、具体的な支援内容についてお気軽にご相談ください。
飲食店開業のご相談をご検討の方へ
新規店舗の開業準備では、コンセプト、資金計画、物件、メニュー、デザイン、販促、人材をトータルで考えることが大切です。
RDJでは、開業計画のヒアリングからコンセプト構築、開業計画書作成、物件選定、メニュー開発、店舗デザイン、販売促進計画まで、飲食店開業を総合的にサポートしています。
まとめ
飲食店開業では、思いついた順に準備を進めるのではなく、正しいアプローチで全体像を把握しながら進めることが大切です。
コンセプト構築、資金計画、売上収支計画、物件選定、メニュー開発、店舗デザイン、販売促進、人材。これらをトータル的に考える視点を持つことで、多くのお客様を集客する魅力あるお店づくりにつながります。
そして、開業後の安定した店舗運営を目指すためにも、開業前の準備段階でどれだけ全体を整理できるかが重要です。
飲食店開業に関するお悩みや、具体的な準備の進め方についてご相談をご希望の方は、レストランコンサルタントRDJまでお気軽にお問い合わせください。









